TAKAMIYA GROUP

建設業の2024年問題とは?~労働時間の上限規制について~

2023.09.13

建設業の2024年問題とは?~労働時間の上限規制について~

Technicalnote 技術情報

こんにちは、キャディアンです。
皆様の会社ではワークライフバランス改善のために、どのような取り組みをされていますか?
弊社では、リフレッシュデーを実施し、業務のタスク管理の徹底に取り組んでいます。

今回の記事は、ワークライフバランス改善にも関係する【建設業の2024年問題】についてです。


建設業における2024年問題とは

2019年に施行された法令「働き方改革関連法」が建設業においては、5年間の猶予期間が設けられていましたが、適用開始がいよいよ2024年4月と来年に迫ってきました。つまり、建設業界が2024年4月までに解決しなければならない労働環境問題について、どう対応するのかということが2024年問題となります。
建設業において、5年間の猶予期間が設けられている理由ですが、労働人口が減少しており建設業界に入ってくれる人材が減っていること、さらに作業者の高齢化も進んでおり、人材不足による長時間労働が常態化しているといった労働環境問題は短期間では難しいことが考慮されています。


データで見る労働環境問題

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について

国土交通省が発表した「最近の建設業を巡る状況について」の産業別就業者の年齢分布をみると、2021年時点で55歳以上が35.5%、29歳以下は12%となっています。対して、全産業の数値を見ると55歳以上が31.2%、29歳以下は16.6%と大きく開いています。建設業においては定年退職を控えた労働者の数が多く、そのベテラン層が退職しても、将来その技術を受け継いでいく若年層が少ないという問題に直面しています。


出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について

もう一点、建設業は、製造業やほかの産業と比較しても労働時間が長いという問題を抱えています。年間の労働時間が製造業と比べて104時間、全産業と比べると364時間長く、年間出勤日数は製造業に対して16日、全産業と比較すると30日多いことがわかります。建設業単体で見ると労働時間・出勤日数ともに下がってきてはいますが、他産業との比較では、変わらず高い水準のままです。

以上をまとめると人手不足であるから長時間労働の常態化し、長時間労働の常態化しているから若い人が入ってこないという負のスパイラルに陥っているのです。若年層の獲得と労働時間の削減が急務となっています。


建設業における働き方改革関連法

「働き方改革関連法」は2019年4月に施行されました。建設業の場合ですが、短期間で労働環境の改善は困難だと判断されたため、「時間外労働の上限規制」に5年間の猶予期間が設けられました。しかし、その猶予期間も2024年3月までとなっており、2024年4月から適用が始まります。
今までと何が変わるのかという点についてですが、これまで特に上限規制が設けられていなかった時間外労働に具体的な規制が設けられました。また上限を超えた時に罰則があるという部分が今までと大きく変わります。


時間外労働の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、納期変更などによって納期が迫っている、大規模なクレームへの対応、重大なトラブルへの対応などの予期せぬ特別な事情がなければ、月45時間・年360時間を超えることはできなくなります。また特別の事情があったとしても、上限が決められています。時間外労働は年720時間以内で、さらに2〜6ヶ月の平均が80時間以内、休日労働を含む時間外労働が月100時間未満、月45時間を超えられるのは年6回までという条件付きです。


時間外労働の上限規制を超過した時の罰則ですが、さきほどの規制に違反した場合、6ヶ月以下の罰金または30万円以下の罰金に処される可能性があります。もう一つのポイントとして罰則ではありませんが、時間外労働の割増賃金の引上げがあります。これまでは、中小企業では60時間を超える法定時間外労働の割増賃金率は25%でしたが、2023年4月より労働基準法が改正され、50%へと引き上げとなりました。従業員との同意の締結があれば、割増賃金の支払いの代わりに、時間外労働分の代替休暇を付与することも可能ですが、人手不足の現状を考えるとその方法がとれる企業というのは、非常に限られた企業だけになるのではないでしょうか?また、法定休日労働だと時間外労働時間の月60時間には含まれませんが、休日労働の割増賃金率は35%です。当然、企業によって基本給は異なるので、影響度はそれぞれの企業で変わってきますが、長時間労働の常態化してしまっている企業にとっては、金銭的な負担が多くなることは間違いないです。


建設業の働き方改革に対応するために

労働環境の改善には様々な方法があると思いますが、キャディアンからお伝えしたいのは、建設生産プロセスに特化した3DモデルであるBIMCIMの全面的な活用による生産性の向上です。調査・測量、設計、施工、検査等のあらゆる建設生産プロセスにおいてBIMCIMモデルを全面的に活用することで一人あたりの生産性向上を図ります。

調査
測量
3Dレーザースキャナーなどを使って、従来の一点一点計測していく従来の方法ではなく、たくさんの点が集まった面での計測をすることで、短時間で高密度のデータを取得します。
設計
施工計画
計測した実際の地形・構造をもとにBIMCIMモデルを作成します。このBIMCIMモデルは、建設生産システムの計画、調査、設計、施工、管理の各段階において情報を共有することにより、効率的で質の高い建設生産・管理システムの構築が可能となります。それにより、現況の視覚的な把握や干渉チェックによるミスや手戻りの大幅な減少が可能となります。
土木施工 ICTを取り入れた建設機械を使い、オペレーターの負担を減らし、工期短縮や省人化、仕上げ精度の向上により手戻りの大幅な減少を見込めます。ICT建設機械には、建設機械の位置情報と施工箇所の2D・3D設計データをリアルタイムで入手し、現況地盤データとの差分算出を行なった結果に沿って重機が自動的にコントロールされるような自動制御タイプのものと、建設機械の位置情報と施工箇所の2D・3D設計データをもとに、オペレーターの操縦を補助するタイプのものがあります。
維持管理 構造物の変化を視覚的に確認できたり、構造物の異常を数値として把握できることから、詳細な調査が必要な個所を絞り込めます。また、設備機器の入替検討などもPC上で行えるなど様々なメリットがあります。

このような取り組みを行って、省力化を図ろうというわけです。


まとめ

建設業においては、2024年問題ともいわれる働き方改革関連法のひとつ「時間外労働の上限規制」の猶予期間が終了し、2024年4月から規制が適用されます。建設業は働き方改革関連法の適用までに、労働環境改善に取り組まなければなりません。人材不足や長時間労働といった建設業が抱える問題を解決するべく、人材確保だけでなく、省人化による業務の効率化および生産性の向上を図ることで労働者にとって働きやすい労働環境を構築していくことが求められています。その手段の一つにBIMCIMの活用があります。

キャディアンでは、BIMCIMに関してのソリューションをご提供しておりますので、ご興味ございましたら、お気軽にご相談ください。

Contact us.

BIM/CIMモデリング、空間計測、機械設備・電気設備に関すること・
お困りごとがありましたら、お気軽にご連絡下さい。

arrow

line