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建築確認申請のBIM化に向けて準備すべきこと〜2026年4月から始まる新制度への対応〜

2025.09.04

建築確認申請のBIM化に向けて準備すべきこと〜2026年4月から始まる新制度への対応〜

Technicalnote 技術情報

建設業界にとって大きな転換点が迫っています。2026年4月から「BIM図面審査」が開始され、建築確認申請においてBIMデータの活用が本格的にスタートします。このデジタル化の波は、これまでの紙ベースの手続きから脱却し、業界全体の効率化と高度化を実現する重要な一歩となります。
しかし、正直なところ、業界全体がまだ手探り状態というのが実情でしょう。国土交通省の方針は明確になってきたものの、実際の運用面では未知数な部分も多く、多くの事務所が「どこまで準備すればいいのか」と悩んでいるのが現状です。

BIM化って、結局何が変わるのか?

まず、建築確認申請のBIM化について整理してみましょう。といっても、これが意外と複雑で、段階的に進められるのが特徴です。

2026年春からスタートするのは「BIM図面審査」と呼ばれるもので、2029年春予定の「BIMデータ審査」へと発展していく計画になっています。ただし、この2029年という時期についても、業界の準備状況によっては多少前後する可能性があるのではないか、というのが関係者の間での見方のようです。

BIM図面審査とは

申請者は「入出力基準」に基づいてBIMソフトウェアで作成した申請図書(PDF形式)を、「設計者チェックリスト」およびBIMモデル(IFC形式)とともに提出することになります。

ここで興味深いのは、審査する側も同じBIMモデルから切り出された図面を見ることで、従来の「平面図と立面図で寸法が合わない」といった、よくある図面間の不整合チェックの一部を省略できるという点です。

ただし、実際にどの程度の省略が可能なのか、そして省略された部分の責任の所在はどうなるのか、といった運用面の詳細については、まだ明確になっていない部分も多いのが実状です。

CDEって何?

「確認申請用CDE(共通データ環境)」という、なんだか難しそうな名前のシステムが登場します。これは申請・審査環境を標準化するためのもので、要するにクラウド上でデータをやり取りする仕組みです。

建築行政情報センター(ICBA)が提供するこのシステム、初年度は特定行政庁は無料、民間機関は半額という料金設定になっています。

申請者側と審査機関の変化

申請者側
BIMを使うことで整合性の高い図書が作れる、Webで申請できて便利になる、審査期間も短くなる...確かにメリットは多そうです。

しかし、中小の設計事務所から、「BIMソフトのライセンス料だけでも年間数十万円。それに加えて高性能なPCも必要だし、職員の教育費用を考えると、正直厳しい」という声も聞こえてきます。

特に、地方の小さな事務所では、住宅中心の業務でBIMを導入するメリットを感じにくいケースもあるでしょう。このあたりの温度差が、制度導入時にどのような影響を与えるのか、少し気になるところです。

審査期間側
審査側にとっても、3Dモデルで建物の把握が容易になったり、複数人での並行作業が可能になったりと、確かにメリットはありそうです。

ただし、これまで2D図面での審査に慣れ親しんできた職員が、3Dモデルを使った新しい審査方法にスムーズに移行できるかどうか、実は大きな課題かもしれません。

準備すべきポイント 1. 入出力基準への対応

申請者側には提出データの作成ルールとなる「入出力基準」に沿ったBIMモデルの作成が必要です。10月にもガイドラインの正式版が公表される予定なので、最新情報を定期的にチェックし、社内での体制整備を進めることが重要です。

準備すべきポイント 2. BIM技術者の育成

BIMソフトウェアを効果的に活用するためには、専門知識を持った技術者の存在が不可欠です。単なるCADからBIMへの移行だけでなく、建築法規への理解と組み合わせたBIMモデリング技術の習得が求められます。

準備すべきポイント3. データ管理体制の構築

BIMモデルには大量の情報が含まれるため、適切なデータ管理体制の構築が必要です。バージョン管理、データ共有のルール策定、セキュリティ対策など、包括的な管理システムを整備する必要があります。

準備すべきポイント4. システム・ハードウェアの整備

BIMソフトウェアの導入と運用には、高性能なハードウェアとネットワーク環境が必要です。また、確認申請用CDEとの連携を見据えたシステム環境の整備も欠かせません。

まとめ

2026年4月から始まるBIM図面審査は、建設業界のデジタル化における重要なマイルストーンです。早期の準備と対応により、新制度のメリットを最大限に活用し、競争優位性を確保することができます。

技術的な準備だけでなく、人材育成や体制整備も含めた総合的な取り組みが成功の鍵となります。必要に応じて外部専門機関の力も借りながら、着実に準備を進めていきましょう。

建設業界全体のデジタル化の波に乗り遅れることなく、この機会を業務効率化と品質向上のチャンスとして捉え、積極的に取り組んでいくことが重要です。

cadianによるBIMモデル作成のご提案

これらの準備を効率的に進めるために、BIM・CIM・空間計測のスペシャリストであるキャディアンへのBIMモデル作成依頼をおすすめします。

キャディアンでは、豊富な経験と専門知識を活かし、確認申請に適したBIMモデルの作成から、入出力基準への対応まで、包括的なサポートを提供しています。内製化の準備が整うまでの間、外部専門機関を活用することで、スムーズな制度移行が可能になります。

※本記事の内容は、掲載時点の情報に基づいています。今後、状況の変化や新たな情報により内容が変更される可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

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